言葉の森を、歩いていこう

本と将棋が好きです。備忘録的な意味合いが強いですが、何かコメントをいただけると励みになります。

日本語の森を歩いて

フランス・ドルヌ+小林康夫『日本語の森を歩いて フランス語から見た日本語学

副題のとおりの内容ですが、これがすごく面白いです。

すこし長くなりますが、引用してみます。

「「行ってきます」―子どものときから何度となく朝、家を出るときに口にしている言葉ですから、日本人にはこれほどわかりやすい、慣れ親しんだ言い回しもないかもしれません。しかしこれを、そのまま外国語に翻訳しようとするとなかなか難しい。その難しさを端的に示してくれるのが、日本人と結婚したフランス人の友人が教えてくれた彼女の幼い息子さんの反応です。息子さんは、もちろん日仏二ヶ国語を喋るのですが、誰かが「行ってきます」と言うのを聞くと、「行くか、来るか、どちらかひとつにしてください。ふたついっぺんにはできません」と理屈をこねるのだそうです。」

なんだこのかわいい生き物は。

というのは置いておいても、文化・言語の差異というのは本当に興味深いですね。

そしてフランス人の奥さんの心を射止めた小林先生うらやましい。

「ある外国語を学ぶということは、一方に文法規則の習得があり、他方に辞書のような語彙の対応表があって、一方を他方に適用すると、間違いのない正しい文が次々と生み出されるというような仕方では進まないし、深まらないことがわかります。ある言語から別の言語に越境するということは、それぞれ具体的な問題にぶつかるということです」

「一対一対応表のような語彙集を頭におくことなく、複雑な表現(表情?)をみせるそれぞれの言葉のふるまいに耳を傾け、注意を向けることでしか言語のほんとうに働く姿を見届けることはできないのです」

フランス・ドルヌ+小林康夫『日本語の森を歩いて』 - Mey yeux sont pleins de nuits...

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